実際原価は、実際の消費量や作業時間に基づく原価です。実際消費量に実際価格を掛けるほか、実際消費量に予定価格を掛けて計算することもあります。予定価格を使うだけで標準原価になるわけではありません。
標準原価は、標準消費量・標準作業時間などと標準価格・標準賃率を組み合わせて計算します。標準は作業研究や実績分析等に基づき設定し、通常生じる材料の減損や作業上の余裕なども考慮します。
例えば、標準材料費が1,000円/kg×2kg=2,000円、実際の材料費が1,050円/kg×2.1kg=2,205円なら、差は205円です。価格と消費量のどちらが変わったのかを分けて分析すると、購買や作業の改善に役立ちます。
標準の厳しさには種類と目的があります。理想的な条件の標準、正常な条件を想定した標準、現実的な条件に基づく標準などを区別します。予算に使う際は、予測価格・数量・設備能力等と前提が一致するかを確認し、必要な部分を見直します。常に厳しさを緩める、という一律のルールではありません。
財務会計では、標準・予定原価と実際額との差異を適切に処理して在庫と損益を確定します。実際額の記録は不要にならず、差異が生じた理由、金額の重要性、標準設定の適否などを確認します。
税務上の原価差額調整は別の取扱いです。法人税基本通達5-3-3には、総製造費用に対して概ね1%以内の一定の原価差額について、計算明細を確定申告書に添付する等の条件付きで調整を要しない取扱いがあります。1%を会計全般の無条件の費用化基準とせず、対象範囲や他の通達も確認します。